カレンダー明日へのステップ

個別の調達「行為」までを一元化するかどうかはともかく、調達「戦略」は早急に一元化する必要があると考え、4月に公社総裁に就任してすぐ、調達コストの削減プロジェクトに着手しました。 都心を走るのに四駆を導入するようなもの私は銀行時代にも、調達コストの見直しを二度にわたって行なっています。
S銀行で最初にS銀行の頭取に就任したときには、イギリスのブレア首相がやった100日作戦にならって、いろいろな改革を100日で仕上げようという作戦を立てました。 その中で、基本となる調達コストの見直しを行なったのです。
もともとS銀行というのは、雑巾を絞りきったようなところだと言われていて、あらためてコストを見直す必要などないだろうと言われていました。 それが、項目にして13億円ぐらい叩き出しました。
あのS銀行だって絞りきれていなかったのですから、郵政はかなり絞り甲斐があるはずです。 また郵政は何と言っても規模が大きいので、コストを1%削減するだけでも、その金額は膨大です。
そこで、専門のコンサルタントに入ってもらい、全面的な見直しを始めました。 見直しの対象は個々の単価から、調達後の問題まで多岐にわたりますが、そこで指摘された本質的な問題が、システムのところでも問題となった、「丸投げ体質」でした。
「調達に無駄が多いのは、そもそもオリエンテーション(業務要件の定義など)が弱いから」ということなのです。 たとえば、新商品を販売するための広告宣伝を代理店に依頼する際も、顧客セグメントを明確にしないどころか、「何をお願いしたらいいのか分からないから考えてきて」というような状態で、発注してしまう。

例として極端すぎるとしても、実際、これに近いケースは少なくありません。 数字だけ減らしても意味がない調達コストの削減は、2003年4月の郵政公社発足以来の課題でもありました。
その成果として、2700億円にのぼる非常に大きな削減が行なわれたということになっています。 ここで注意する必要があるのは、これまでは、経常的な支出における削減と、資本的な支出における削減がごっちゃになっていたということです。
そもそも、経費削減という場合、経常的な支出と資本的な支出を分けて考えなければいけません。 経常的な支出というのは、文字どおり毎年毎年出ていくお金ですが、資本的な支出というのは、たとえば設備投資やシステム投資などで、必ず毎年出ていくお金でその結果、依頼された側としても、想像できる最大限の範囲でクライアントの要求に応えるため、フルスペックのサービスを提供せざるを得ない。
都心の道路を走るだけなのに、山道を走るための四輪駆動車を購入してしまうというような無駄が生じているのです。 そうすると、システム投資や設備投資を先送りすることで、前年より「調達コスト」を削減するという数字合わせも可能です。
このあたりは会計が分かっていないと分からないことなので、メディアの報道の仕方によっては、実態を伴わない数字だけが一人歩言してしまうこともあります。 たんに調達金額が減っただけでは意味がありません。
まず重要なのは、損益計算書で経費に計上される支出を削減することです。 また、資本的支出についても、発注価格がどうなのか、発注の仕方に構造的な問題がないのかを、細かく見ていかないといけない。
そのために、今は、専門コンサルタントの協力を得て、調達全体の実態をすべて正確に洗い出して、調達コストの単価を比較できるようにベンチマークを導入するという作業を進めています。 ベンチマークとなる価格との比較において、価格、つまり、調達コストを引き下げていくようにすることが大切です。

これらは民間企業にとっては当たり前のことですが、官というのはそもそも予算主義であり、特に郵政は白昼則の収入がある特別会計だったので、決算の考え方についてもカルチャーがまったく異なります。 コールセンターの一元化もう一つの課題である「顧客接点の一元化」の一環として、私が公社総裁に就任した初日に打ち出したプロジェクトの一つがコールセンターの一元化です。
現在、郵政公社関係のコールセンターは帥力所もあります。 もちろん、地域、業務などによる区分けがあり、それぞれのセンターに意味がないわけではないのですが、それにしても帥もあったのでは、お客さんからすれば非常に使い勝手が悪い。
たとえば、今、沖縄にはYなどの集荷・再配達をフリーダイャルで受け付けるコールセンターがあります。 このセンターが対象にしているのは、東京、しかも羽区だけです。
私の自宅は都内にありますが、酪区内ではないためこのコールセンターは使えず、地元の郵便局にかけなければいけません。 これに対して、先に私が視察したある企業グループは、複数の会社で構成され、取り扱う商品も会社ごとに異なっているのですが、コールセンターは1カ所に集約されていました。一般の利用者の方には見えにくいところですが、民営化の難しさはこのようなところにもあるのです。
このコールセンターは主に販売促進用で、クレーム対応の部署は別にあるのですが、クレームの電話がかかってきた場合でも対応できるよう、専任の担当者も配置されていました。 グループ内のどの会社のお客さんかで区別することなく、ましてや、社内のどの部署に用事のあるお客さんかなどということともまったく関係なく、「我らがグループのお客さまなのだからお待たせしてはいけない」という理念がコールセンターの社員全員に徹底されているのを見て、私はとても感銘を受けました。
郵政も、郵便、貯金、保険というリテール事業をグループ企業として全国展開していくわけですから、やはり、このレベルを目指さなければなりません。 同じことはウェブについても言えます。
私はプライベートで行なう簡単な資金決済や振込みは、ほとんど携帯電話で済ませています。 また、通信販売などのインターネットサービスもよく使います。
郵政のウェブは、ほとんど利用することがありません。 ホームページを見るかぎり、情報量は少なくなさそうなのですが、いかんせん、使い勝手がよくない。
実は郵政公社のサイトには、日本でも有数と言っていいほど、アクセス数の多いページがあります。 「郵便番号検索」のページです。
多くのお客さんがそこまでアクセスしてくれているのに、そこから先に進ませるだけのインフラもコンテンッもない。 ふつうの民間企業からすれば、喉から手が出るほどほしいキラーツールを持ちながら、それを顧客拡大に結びつけることがまったくできていないため、大きなビジネスチャンスを逃しているとも言えます。
ふつうの民間企業であれば、コールセンターやウェブの重要性など、あらためて口にするのも恥ずかしいほど当たり前のことですが、郵政にはそのような問題意識が欠けていました。 今までは政府事業であり、提供される商品やサービスについても、「政府事業というのはこんなものだろう」とお客さんはそれほど高いレベルを求めなかったはずです。

郵便局は郵便局として、使えるところだけ使えばいいということであり、郵政サイドも、そうしたお客さんの要求水準を無意識のうちに前提にして事業を行なってきたのだと思います。 関連法人の見直しは、国鉄や電電公社、道路公団など、どの民営化でも大きなテーマになってきました。

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